2010年12月14日火曜日

弱者の兵法

弱者の兵法 野村流 必勝の人材育成論・組織論
野村 克也
アスペクト
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~プロフェッショナルの「プロ」とは、プロセスの「プロ」でもあるといえる。~

(本書より) あの野村監督(今は監督ではないですが、あえてこう呼ばせていただきます)が書いた人材&組織の本です。
タイトルからも想像できるように
  • 勝てる組織とは
  • プロフェッショナルとは
  • 人を育てるとは
など野村監督の監督・野球人としての哲学がギュッと詰め込まれた読み応えのある良書です(もちろん私の主観ですが)。
読んでいて感じたのですが、野村さんのプロフェッショナリズムや組織論というのは、あのサッカーのオシム氏のそれと非常に近い気がします。それだけに、是非一度この2人の対談を見てみたいですね。
それにしても、こうも哲学が似通っている2人のうち片方が日本を離れても未だにマスコミから意見を求められ、もう片方はヒールキャラになってしまっているのは何故なんですかね?スポーツの違いなのか、日本人と外国人の違いなのか、嫁がテレビに出てるのと出てないのの違いなのか・・・。
【読書メモ】
  1. 「中心なき組織は機能しない」。これは私が度々口にする組織論の大原則である。野球に限らず、中心的役割を担う人物の意識や言動は、組織内の意識や言動は、組織内のほかの人間に大きな影響を与える。
  2. 取り組み方 ― 真のプロと呼べるか否かは、そこにかかっていると私は思っている。いかにその仕事に全身全霊、全知全能をささげて取り組むことができるか。それを実践できる人間をプロフェッショナルと呼ぶのである。
  3. プロフェッショナルの「プロ」とは、プロセスの「プロ」でもあるといえる。プロセスによって、人間は成長するのである。
  4. プロにとって「満足は最大の敵」なのである。「満足」が「妥協」を生み、「これで精一杯だ」という「自己限定」につながってしまう。
  5. 「組織はリーダーの力量以上には伸びない」― これは組織論の大原則であり、長年プロ野球チームという組織に身を置いてきた私の実感である。
  6. 私は「失敗」と書いて「せいちょう(成長)」と読むことにしている。なぜなら、人は失敗することで多くを学ぶからである。失敗は成長を生み出すのだ。
  7. 自分が持っているノウハウや技術、理論を的確かつわかりやすく伝えるためには、「表現力」が必要不可欠なのだ。表現力遺憾で、選手の理解度は全く違ってくる。だからこそ、指導者は言葉を獲得しなければならない。
  8. 中国のことわざに、こういうものがある。
    財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上とする。
  9. 「優勝するにふさわしいチーム」とどういうものか。必ずしも選手個々の素質には恵まれていなくても、確固たるビジョンと哲学を持つ監督のもと、明確な意思統一がなされ、一丸となって戦うチームのことをいう。
  10. 「優勝するにふさわしいチーム」の条件とはなにか
    1. ひとつめは、「適材を適所に配置する」ということである。
    2. ふたつめは、「無形の力」を備えていることである。
  11. 個性は他人の納得と承認があってはじめて輝くものであり、世のため人のために役立ってこそ生きてくる個人の特性のことを指すのだと私は思っている。
  12. 無形の力とは文字どおり「かたちにならない力」、すなわち「目に見えない力」の事を指す。具体的にいえば「分析」、「観察」、「洞察」、「判断」、「決断」、「記憶」としてまとめられようか。
    ― 「分析」とはデータや情報を収集・分析し、研究することをいう。
    ― 「観察」とは、目に見えることから情報を引き出す行為だといっていい。
    ― 「洞察」は「目に見えないもの」から新たな情報を獲得する力のことを指す。その最たるものが、相手の心理を読むことである。
    ― 「判断」とはこうして得た情報をもとに、もっとも成功する確率の高い作成を選択することにほかならず、これらの行為を経た結果は、「記憶」として蓄積され、データを補足することになる。
    ― 「決断」は腹でする。
  13. 仕事を生きる糧としている以上、仕事と人生を切り離して考えることは不可能だ。仕事を通じて人間は成長し、人格が形成される。仕事を通して社会の恩恵に報いていく。それが生きることの意義である。
  14. 「進むときは上を向いて進め。暮らすときは下を向いて暮らせ」
  15. おのれの力を過信した時点で成長は止まる。
  16. 「人間は無視・賞賛・非難の段階で試される」
  17. 気づき、感じとる力がなければ、それまでなのだ。最初から教えてしまうと、この「気づき、感じ取る力」を奪ってしまうのである。
  18. もし「どうしたらいいのでしょう。どこが間違っているのでしょうか」と尋ねてくれば、そのときは絶対に突き放してはいけない。こうした機会こそ、徹底的に教え込みチャンスなのである。指導者がここですべきことは、自分で正解を見つけられるよう、自ら取り組もうとする意識を植えつけることである。そのために大切なのが「目標」を明確にさせることである。

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